虎々なるままに日暮し

キャンプ2010 2/8

≪スナイパー城島 一塁送球座ったまま≫
ジョーを見ていたファンがざわついた。まるで何が起こったのか理解できていなかった。何の前触れもなく、静かに獲物を仕留める“スナイパー”のように、城島は座ったまま一塁へ転送。通常時と何ら変わらない球威、そして完璧にコントロールされたボールが真弓監督のグラブに飛び込んだ。
シートノック前に城島がレガーズを着けてメーン球場の本塁付近に現れた。中腰で右肩をグルングルンと勢いよく回し、一塁ベース付近にグラブを持って立っていた真弓監督を“指名”した。
捕球態勢から立ち上がって送球する通常のスタイルで8球を投じ、肩の仕上がり具合をチェックすると、続けて両膝を地面に着けたまま一塁へ。上半身を捻ることなく、捕球姿勢のまま目にも止まらぬ速さで投げた。その精度は着実に増し、最後の9球目は走者が帰塁する足元へストライク送球。代名詞とも言えるスーパープレーに、最初はあっけにとられていたファンから「おーっ」と驚きの声が上がった。
受けた真弓監督も「回転のいいボールを投げていた。真っすぐ来るし、コントロールもいい」と絶賛。近鉄ヘッドコーチ時代、城島と対戦する際には座ってからの牽制球を注意するよう走者に促していた。「相手チームにすれば頭に入れておかないといけない」。この指揮官の一言が城島の狙いだ。
「最大の防御は走らせないこと。ベースコーチに牽制があると言わせたい。だからどんどん投げるよ。投げるのが僕のスタイルだから」と不敵に笑い、“ジョー・バズーカ”の連射を予告した。これで走者のリードが一歩でも二歩でも狭くなれば、先の塁を奪われる危険性は低くなる。阻止ではなく、釘づけこそが捕手として究極のテーマ。特に左打者の場合は、一塁走者から見て城島が死角となり、たった一度の瞬きが命取りになる。
それだけに「ブラゼルが捕れるかな~。まぁ体がデカいからどっかに当たるだろ!」と笑って冗談を飛ばした。打撃では屋外フリー後に、宜野座ドームで25分の打ち込みを行い、全体のスイング数は今キャンプ最多の255を数えた。
宜野座で6日ぶりに見る晴れ間に「久々だね」と気持ちよさそうに大粒の汗を拭った城島。帰り際にはファンがサインを求めて約100mの長蛇の列をつくった。日を追うごとに増す存在感。早くも猛虎の中心になりつつある。

≪鳥谷「開幕3番」新井圧倒19発!!≫
鳥谷の存在感が真弓監督をフライングさせた。「(鳥谷は)3番を考えている」。11月に「(打順は)春のキャンプの状態、オープン戦の状態で決める」と開幕直前までオーダーを先延ばしにした指揮官が会見で思わず口走った。練習後、その方針を伝え聞いた鳥谷が顔色を変えることはなかったが、1つだけ譲れないこだわりも見せた。
「何番だからどうというのはないけど、クリーンアップは1年間変わらないほうがいいと思う。もし自分が打つことになれば、変わらないようにしたい」
悔しさを晴らすシーズンにしたい。昨季は新チームの目玉として3番を任されたが、前半戦は不振に陥り、5月20日のソフトバンク戦には好機で代打を送られる憂き目にもあった。で、代打桧山も打てんかったwフルイニング出場に強いこだわりを見せる。3番を打つ責任感はフルイニングでポジションを守り通して初めて全うできると確信する。
「1年間その打順で通せるくらいの気持ちでやって欲しい。クリーンアップは特別なポジション。今年は、3番は鳥谷しかいないというものを見せてくれるはずだよ」。オーダーの進言役でもある和田打撃コーチは鳥谷の代役を考えていない。「終わってみれば2割8分というシーズンが続いている。3割20本は最低でもやって欲しい。最低でだよ!」。同コーチは鳥谷に全試合を任せる上で、数字上のノルマを課すことも忘れなかった。
「全試合出た中で3割を打ちたい。本塁打と打点は多いに越したことはないけど、まずは率を残すことを考えて、そこに他の数字がついてくればいい」。この日のランチ特打は78スイングで19本のサク越え。並んで打った新井が2本。本人は「自分はホームラン打者じゃない」と言い続けるが、元本塁打王を圧倒する飛距離を見れば、誰が監督でもクリーンアップを任せたくなる。
13日の日本ハムとの練習試合(宜野座)が今季初実戦になる。「実戦が始まるまでは体をいじめたい」。通常メニュー後、特守でユニホームを泥だらけにした鳥谷。2010年の新オーダーが一枠だけ決定した。

≪新井 居残り特打…新フォーム固めへ必死≫
新井が居残りで62分間マシン打撃を行った。「目標を持って打った。コーチの言った通り、ポイントを近くして(バットを)体に巻き付けて出す感じ」。
ランチ特打では82スイング中、サク越えは2本。強振を主眼に置かない練習で飛距離を意識することはないが、ケージ越しに見守った和田打撃コーチは「下はしっかりしているから、上にもう少し遊びがあってもいい」とアドバイス。今キャンプは両膝を曲げ、下半身に重心を置く新フォームに取り組む。新井は「フォームの方向性は固まっている」と確信を持って取り組んでいる。
ケージ横でビデオを回し、宿舎で確認作業も怠らない。「去年はこの時期に振り込むことができなかったから」。昨春のキャンプは腰椎骨折の後遺症と右手首の故障で満足なキャンプを送れなかったが、今年は体調面で不安がない。フォーム固めをする体力がある。
この日は通常メニュー後、特守も志願。サブグラウンドで計110球。時折ダイビングを試みるなどユニホームを汚しながら、サードの位置で久慈コーチのノックを浴びた。新井が攻守で万全の準備を進める。

≪蕭 マートン斬りで開幕ローテへ前進≫
蕭が8日、初のフリー打撃登板で上々の投球を披露。対戦相手のマートンをほぼ完璧に封じるなど、目標の開幕ローテ入りを強力にアピールした。
急遽実現した“黄金カード”に、スタンドの虎党が熱い視線を注ぐ。真っ向勝負を挑む右腕、力強いスイングで応じる助っ人。沖縄の太陽に照らされながら、2人の力と力がぶつかり合った。
当初、打席に立つ予定だったのは新井。しかし、別組で打撃練習予定だったマートンの希望により対戦が実現した。力強い速球で攻め立てる右腕。そして3球目の外角速球に、助っ人のバットが大きく空を切った。
昨季より力を増した速球に、助っ人の打球が詰まる。全23球中、安打性の当たりはわずか2球。続く関本との対戦でも25球の熱投で渡り合った。両者にとって実戦的な打撃練習が初めてという点は差し引かれるべき材料。それでも、今季の活躍を強く予感させる内容だった。
「力のある球を投げていたね」と目を細めた真弓監督。しかし、久保投手コーチは「いい球を四隅に集めようとし過ぎている。腕を振らないと1軍の打者は振ってくれない」。終了後には、リリース時にさらに力強さを出すべくフォームを微修正。今季の1軍戦力とみるからこそ、その評価は厳しかった。
「甘いところに行きましたね」。自らの立場を理解する右腕も、自己評価は厳しい。今後は13、14日に行われる日本ハムとの練習試合での登板が予定される。
「楽しみ半分、不安半分。どこでもアピールするだけです」。口元を引き締めながら、決意を語った。ローテ奪取を巡る戦いは、ここから始まる。

≪安藤“左封じ”へチェンジアップ試投≫
安藤が8日、ブルペンで新球のチェンジアップを試投した。現段階では何種類かの握りを試しているといい「左打者対策?そうですね。右打者にも使えたらいいけれど」と“左封じ”へ新兵器を編み出そうとしている。
この日は清水を座らせ、チェンジアップを交えて71球を投げ込んだ。投げ込み中は何度も、2人で球の感覚を相談し合った。「試合でも投げてみようと思っている。まだ遊びの段階ですけどね」と試行錯誤の状態だ。
春季キャンプ前のイベントで「巨人戦は全て勝つ」と宣言した安藤。昨年は巨人戦4試合に登板し未勝利に終わった。覇権奪回への最大のライバルには小笠原、阿部、亀井ら左のスラッガーが揃う。巨人から勝ち星を挙げるには、左打者対策は必須条件だ。
球を受けた清水は「チェンジアップの状態は安藤さん自身がよく分かっておられたのですが、特に捕手から見て球がどうかということを確認されました。感触は良かったです」と好感触。
これまで、左打者には主にツーシームでタイミングを外してきたが、新球をモノにできれば大きな武器となる。今季は「Gキラー」そしてエース復権へ向け、好スタートを切ることができそうだ。

≪球児に“フォークの神様”太鼓判≫
元中日投手で阪神監督を務めたこともある杉下茂氏が宜野座を訪れ、球児を絶賛した。藤川がブレークする前からアドバイスを送ってきた“フォークボールの神様”だが「何も言うことはない。日本を代表するピッチャーなんだから」とその実力に太鼓判を押した。
宜野座ドーム内でティー打撃を行っていた藤川。杉下氏の顔を見ると、笑みを浮かべて出迎えた。「優しい顔をしておられるので、会うとホッとしますね」と球児。そのまま約20分間、話し込んだ。
その内容について杉下氏は「ピッチングについては何も話していない」という。この日の藤川はノースロー。「投げているところを見てもらえると良かった」と残念がったが、“師匠”はもう教える必要はなくなったと見ている。
「(抑えは)短いイニングなんだから球種をあれこれ考えるのではなく、自分の一番自信を持っている球で勝負したらいい。そんなことも本人は分かっているはず」と杉下氏。さらに「伸びしろはまだまだある」と今後の飛躍に期待した。

≪メッセンジャー 城島と“虎初コンビ”≫
メッセンジャーが8日、昨季まで米マリナーズで一緒にプレーした城島とブルペンで初めてコンビを組んだ。変化球を交えて45球。「グッドだ。やりやすかった」。投球後にはスプリットを投げる時に体が開く癖について「注意した方がいい」と早速、アドバイスも受けた。
メーン球場で行われた初の投内連係でも、フォッサムとともに好フィールディングを見せた。198cm、119キロの巨体に似合わぬ機敏な動きで打球を処理。見守った久保投手コーチも「良かった。実戦でしか分からない部分もあるけど、今日は合格点」と高評価を与えた。
13日の練習試合・日本ハム戦での実戦デビューが内定済みだ。アッチソンの穴を埋めるべく、巨漢右腕は日々着実に、歩みを進めている。

≪真弓監督「ジグザグ打線必要ない」≫
鳥谷の3番起用を明言した真弓監督は打線全体の編成にも言及した。「3人続けて左だと相手がピッチャーを代えやすい。あまりまとまりは良くない。でも無理やりジグザグにする必要はない」。一般的に理想とされる右打者、左打者が交互に並ぶジグザグ打線には、必ずしもこだわらない考えを改めて示した。
念頭にあるのは金本が4番に入り、2番・平野、3番・鳥谷と左打者が3人並ぶ編成で間違いない。その場合、5番は新井が有力。城島は守備優先で当初はクリーンアップから外す意向を既に明かしており、6番に入る可能性が高い。
7番・ブラゼル、8番・桜井と下位打線も強力。核弾頭タイプの1番・マートンが機能すれば、破壊力十分の打線となる。いずれにしても真弓監督は開幕直前の各打者の状態を踏まえた上で、最終的に開幕オーダーを決定する方針だ。

≪秋山2・11日紅白戦デビュー≫
D4・秋山が、11日の紅白戦に登板することが決まった。1イニング限定となるが、17日の西武との練習試合に登板することも内定。初のフリー打撃登板で打者を圧倒し、早期実戦デビューへの挑戦権を獲得した。
「とにかく先輩に当てないこと。ストライクを入れることだけ考えて、5割の力で投げました」
登板後の謙虚なコメントとは裏腹に、マウンドでは怪物ぶりを発揮した。中西2軍投手コーチの渡すボールに傷があれば、遠慮なく交換を要求。時折笑みを交えながら内角に剛球を投げ込み、スライダーとカットボール、2種類の変化球もキレた。高浜、西谷を相手に44球を投げ、安打性の打球は5本だけだった。
ネット越しに見守った平田2軍監督は「大きく育てないとな」と、改めて潜在能力を高く評価した。中西コーチは今後の育成方針について「このキャンプは1イニング以上投げさせない。鳴尾浜に帰って教育リーグで先発させる」と言及。担当の山本スカウトやトレーナー陣と、三位一体でバックアップ体制を整える考えで「綿密に連携を取っていきたい」と逸材の英才教育を決めた。
ドラフトで流した悔し涙は、プロでの成長の糧となっている。「緊張は全然なかったですけど、バッターに当てなくてよかった。とにかく早く試合で投げたいですね」と秋山。大物ルーキーが、間もなくそのベールを脱ぐ。

⇒キャンプも紅白戦を言うようになってきました。はてさて…?



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by kuru2chanbei | 2010-02-08 22:41 | 虎球団

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